巻頭言 

父親になり改めて感じた時間の大切さ

 

彩の国東大宮メディカルセンター 小野寺将真

 

 2020年、私事ではあるが我が家に第一子が誕生し、日々成長する赤ちゃんとの幸せな毎日を過ごしている。そうしてかれこれ半年以上が経つが、仕事と育児に追われる中で時間の使い方の大切さを身に染みて感じることが増えてきた。

 

 赤ちゃんができる前までの私は、平日の夜や休日の時間の多くをだらだらと過ごしており、どちらかというと自堕落な生活を送っていた。だが、今の生活ではそうはいかない。今の我が家の生活の中心は赤ちゃんであり、多くの時間が赤ちゃんのお世話にあてられている。そうすると必然的に自分の時間が減っていく。そのためか、昔からやっている野球のための運動も今ではほぼすることが無くなり、体力もすっかり衰えてしまった。しかし、実際は暇を持て余すことも多々あり、赤ちゃんのお世話を言い訳にしているだけなのである。

 

この状況を打開するにはどうすれば良いのか。某動画サイトで「時間 使い方」と検索してみた。その中で私が実現可能だと思った方法は、やりたいこと・やるべきことを書き出し、優先順位を決めてそれらを組み込んで1日の予定をデザインすることである。そうやって1日をイメージすることで他の誘惑にとらわれずに決めたことを遂行しやすくなる。特に、私はいわゆる「スマホ依存症」のため、動画視聴などをして無駄な時間を過ごすことが多いので、スマートフォンを操作するのは予定の中で時間が余った時、などとルール決めをすることが必要である。

 

 これから先の人生、子育てにかける時間はまだ沢山ある。それでも、子育てを言い訳にせず、自分で決めた予定・ルールを強い意志で遂行することが必要である。そうすれば、仕事にいても家庭においても時間的な余裕ができ、より有意義で生産性のある時間を過ごすことができるはずである。

巻頭言 

今年は時代の転換点か

 

埼玉県立小児医療センター  牧 隆史

 

 皆さんはご存じだろうか、25年周期説。某水曜日の番組の企画ではない。さまざまな見解はあるようだが、日本の近代以降の歴史を見ると、約25年で時代の潮目が変わり、大きな節目が約75年で訪れている、という説のことだ。近代国家の幕開けとなった明治維新以降、おおよそだが25年おきに日清戦争や関東大震災、第1次世界大戦を経て戦争へと向かっていった。そして明治から75年で第2次世界大戦に突入し、敗戦により日本は新しい体制となった。経済面では25年で高度経済成長を成し遂げ大阪万博が開催された。50年で平成に改元、バブルが崩壊、生産年齢人口減少に転換、また阪神淡路大震災もあった。社会面では戦後25年で、よど号ハイジャックやあさま山荘事件、50年で地下鉄サリン事件といった社会に強い衝撃を与える事件が起きた。このように25年の周期で時代の転換点が訪れるというのが、冒頭の25年周期説である。

 そして、その25年後はいつかといえば、2020年である。戦後75年でもある。以前から2020年は何が起こるのか想像をしていた。東日本大震災から復興し、前年に令和の時代へ突入し、東京五輪が開催され、このまま悪いことは起きないだろうと思っていた。

 2020年の実際はどうかというと、年明けから始まった新型コロナウィルスとの戦いに2021年の今も直面し、本誌が発行される頃には延期された東京五輪やワクチン接種はどうなっているのだろうか。生活様式も変化し、1年中マスク着用が日常となり、当支部の役員会含め、多くの学会や講習会がweb形式となった。今の状況は全く予想できなかった。

 新型コロナウィルスが歴史に残る大きな転換点だとすれば、25年周期説は立証されたといえるかもしれない。

 とはいえコロナウィルスはまだ終息していない。今後何が残り、何が無くなるのかを考えていかなければならない。今年は新たな時代へのスタートといえるだろう。そして次の25年後、何が起こると皆さんは思いますか。

巻頭言

2020年を過ごして

 

JCHOさいたま北部医療センター  吉井 肇

 

 去年は年明けごろから新型コロナウイルス感染症の話題が出ていた。その後、2月ごろに国内でもダイヤモンドプリンセス号でコロナウイルス感染者が出て以降、一年間ずっとニュース等でコロナの話題は尽きることがなかった。その影響で新しい生活様式への変更を余儀なくされた。経済的にも、かなり落ち込んでおり、倒産、失業の話題も増えていった。自殺者数も10年近く減少傾向であったのに去年は微増傾向へと変わってしまった。東京オリンピックも2020年7月開催が一年延期となり、未だに感染の終息が見えない中、今年の開催を目指して準備を進めている。2020年は明るい話題が全くなかったわけではないが、明らかに私自身が社会人になってから今まで感じたことのない程、暗い話題の方が多いと感じた年であった。

 

暗い話題ばかりを話してしまったので少し話題を変えようと思う。前回の巻頭言であいさつの重要性についてとりあげられていたので自分も業務や私生活で見直す機会をいただけた。その際にあいさつの重要性だけでなく考え方や伝え方によっても相手への印象等が変わると感じた。「できない。どうしよう。」と考えるより「できる!どうやろう。」と考える方がいいと何かで読んだことを思い出した。本当にできないものはどうしようもないが、何事においても最初からできないと決めてしまってはできることもできなくなってしまうと思う。現在のコロナ禍にもなにか活かせるように感じた。2020年は経済的にも、メンタル的にも落ち込んでいた年であった。今年は考え方を前向きに考えながら少しでも明るい未来にしていきたいと思う。

 

 今年は新しい生活様式に慣れてくる頃なので、少し気を引き締めながら感染予防に努めていきたい。私自身、去年は病院と家の行き来だけで過ごしてしまい運動不足になってしまったのでランニング等の運動も取り入れていき運動不足解消をしたいと思う。一日も早くコロナ前の生活に近づき、明るい話題が増えること願っている。

巻頭言

        非言語的コミュニケーションの必要性

 

                          丸山記念総合病院 野口裕輔

 

 私自身、診療放射線技師として働き始め、多くの患者と接してきた。話し方や言葉選びを日々模索し、経験を積むにつれ、問題なくコミュニケーションが取れていると思っていた。しかし最近は検査の注意事項の説明をした際に患者から「大丈夫」と返答があったが、実際には理解できていなかったことや、患者からの質問を聞き返す場面も多くなり、これまでは患者の表情や口元の動きから、理解できているか、何を質問しているのかを読み取り、判断していたのだと思った。

 マスク着用は、飛沫や接触感染などの感染経路を断ち、その可能性を減少させるために必要不可欠な対策である。しかし声が聞き取りにくい、相手の表情が読み取りづらい、こちらの感情が伝わりにくいなど、互いにマスクをしているからこそ、コミュニケーションのすれ違いが起こりやすくなると改めて感じた。来院される患者など多くの人にとってこれほど長期間にわたるマスク越しのコミュニケーションは初めての経験といえる。まずは、自分で思っている以上に相手に感情が伝わりにくいことを認識する必要が

コロナに伴う新しい日常の実践が求められる中、人と人のコミュニケーションにさまざまな制約が加わった。その中で、マスクの着用により非言語的コミュニケーションが制限されることで円滑なコミュニケーションが妨げられることがあげられる。

 非言語的コミュニケーションとは話す、文字を書くといった言葉を使うコミュニケーション以外の意思伝達方法を指す。他者とコミュニケーションを図る上で、表情や顔色、声のトーン、話す速度、ボディランゲージ、視線などは、言葉以上に大きな役割を果たす。アメリカの心理学者アルバート・メラビアンによると、話し手が聞き手に与える影響のうち言葉の影響力はわずか7%に過ぎず、視覚55%、聴覚38%と視覚、聴覚の影響力が大きい。言葉以外から得られる情報が重要である。

ある。口元ではなく、目元が笑顔になるよう意識し、相手の目をしっかり見てアイコンタクトをとるように留意する。また、表情が伝わりにくい分、体を患者のほうにしっかり向ける、身振り手振りを交えて話をするなどのボディランゲージを適宜とりいれていくなど、視覚的アプローチを活用すべきだと考える。

 マスクによって非言語的コミュニケーションが制限されている今だからこそ、目線やボディランゲージをうまく取り入れて自分のものにし、円滑なコミュニケーションを図っていきたい。