2016年第4

巻頭言

 

成長について考えてみた

 

彩の国東大宮メディカルセンター 放射線科 茂木雅和

 

 

 診療放射線技師国家試験に合格して、早10年になる。

 

この10年という長いようで短く、短いようで長い期間で、過去から見た10年後の今の自分はどれだけの人になったのだろうか?今一度、自分を見つめ直す機会と思い、成長について考えみた。

 

2歳になる我が子は、とても朝が早い。っと言っても目が覚めるのは5時くらい。夏なら朝日とともに、冬ならスズメとともに行動を開始する。布団の上を右往左往して朝の余韻を楽しんだ後、恰好のターゲットは父親だ。1歳を過ぎたくらいでは『あー、うー』と言って起こされたのは懐かしく、1歳半も過ぎれば『ぱっぱ、○×△□、、、、』と理解できるようで出来ない何かを発するようになる。子供の成長は本当に早いものだ。

 

自分も入職して1年や2年は、各モダリティーを覚えるのに必死で毎日が成長であった。まだ撮影した事のない体位方法や、画像の見方・ポイントに対して「すべては成長のため」と思い歯を食いしばって学びチャレンジして来た。時には失敗して、大目玉を食らうこともしばしあったが、徐々に医師と対等に会話出来るようになり、それなりに信頼を得られるようになってきた。今では先輩面を吹かせて後輩への指導係となっているが、当時の自分と重合わせると、絶対自分より出来ると思う、、、だからこそ成長させてあげなくては。

 

教えてきた新人も3ヶ月も過ぎればある程度撮影が出来るようになり、1年も経てば放射線科の1人として数えられている。最初は答えられなかった症例も、聞けば即座に答える様を見ると、新人も我が子も成長のスピードは変わらないなと思う。では、自分はどうなのか?その成長が現在も続けて出来ているのか?答えは言わなくてもわかってしまうのがなんだか悲しいが、それでも10年後の未来で戦う自分を想い、自分なりの速度で前に進んでいるんだ!と思いたい、、、。

 

 朝起きると『パパ、起きてー。朝!起きてー。』と2歳になる我が子が言う。ほんの半年も前には理解できるようで出来ない何かであった言葉が、今でははっきりと伝わり、そしてはっきりと起こされる。これには聞いていないふりは出来ないわけで、しっかりと起こされようと心に決める。人の成長は本当に、本当に早いものだ。

 

 

2016年第3

 

巻頭言 

 

 

風化させないこと

 

                  さいたま赤十字病院 徳田光希

  

第六支部会計を担当しております、さいたま赤十字病院の徳田光希と申します。昨年度から会計として六支部に関わらせて頂いております。支部の活動に参加することで、様々な人と関わり他施設を知ることができ、自分の勉強になることが大変多くあります。昨年は支部の活動についていくことが精一杯で、役員としてはあまりお役にたてませんでしたが、今年度は積極的に活動しようと考えています。

 

 さて話は変わりますが、先日熊本の大地震が大きく報道されました。1ヶ月以上経った今も避難されている方が多くいます。この大震災のニュースを見て、私は自分の大学時代を思い出しました。大学時代、私は仙台に住んでいて東日本大震災を経験しました。大学一年生の春休みの中盤、アルバイトの予定があったため向かう準備をしていたところ、突然とても大きな揺れがあり、棚に置いてあった炊飯器が床に落ちました。ベランダに出ると多くの人が道路に出て動揺の色を浮かべていました。部屋に戻ると点けていたテレビや照明が消え、電話は繋がらなくなりました。何が起きたのか分からず、アルバイト先に向かうことにしましたが、信号は機能しておらず交差点に車がごった返し、運転手は目配せをして事故が起きないよう、ゆっくり交互に進んでいるような状態でした。また、数時間後にはスーパー・コンビニ・公衆電話に長蛇の列ができ、街中が不安に包まれているように感じました。

 

熊本の報道をテレビやネットニュースで見ると、自分が被災した記憶が鮮明に喚起され、何か力になりたいと心から強く思いました。これから報道は徐々に少なくなっていきますが、最も大切なのはこの出来事を風化させないことだと思います。東日本大震災の避難者は5年経過した現在でも約16万人おり、まだ支援を必要としている人達がいます。熊本の震災も今後何年間かは支援が必要になってきます。被災者の方々が何を必要としているのか、自分に今何ができるかを考え、継続して行動していこうと考えています。

 

 そして、六支部の一員として地域医療の発展に貢献できるよう精進して参りますので、これからもご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い致します。